技術紹介

水プラズマとは?

水プラズマとは、直流放電により、水(H2O)を瞬時に水素と酸素に分解し熱プラズマ状態にすることです。

水は常温では安定していますが、プラズマ状態になると、O、H、OHラジカルになり、科学的に活性な反応場となります。

水蒸気プラズマという似た技術がありますが、ガスをプラズマ化してそこに水を蒸気にして供給する方法で水をプラズマ化する技術で、フロンやPCBの分解に使用されている技術です。

水プラズマは、水蒸気プラズマに比べて以下の点が差別化できます。
•水を蒸気にする必要がないことと=その分のエネルギーが不要
•外部からの作動ガスの供給が不要で、ガスを用いないのでガス成分が反応に影響しないこと
•水蒸気を100℃以上に保ち凝集しないよう装置全体に対する大掛かりな保温装置が必要ないこと
•電極の損耗防止のためのガスが必要ないこと
•原料の水自身が冷却水として機能するので大型の冷却装置が必要ないこと

そのため、大出力のプラズマ発生装置でありながら移動ができる大きさにすることができます。

水プラズマによる処理

水プラズマによる処理とは、焼却炉の「燃やす」、溶融炉の「溶かす」ではなく、プラズマの高温領域に直接処理対象を投入 更に水プラズマ特有の強い酸化力のOHラジカルで「分解する」ことを指します。

処理方法排出残渣率
水プラズマ処理装置分解する気体などほとんど残らない
溶融炉溶かすスラグ10%
焼却炉燃やす20~30%

処理方法による処理温度比較

高熱と水プラズマの特性である高い酸化力OHラジカルを活用して分解を進め、Oラジカル、Hラジカルが有害な副生成物への結合を抑制することを目的とする、高温の反応域にフィットした設計になっています。そのため、焼却炉や溶融炉で処理のできない難処理対象物である特別管理産業廃棄物に向いています。

学会発表

2018年12月4日 大阪大学吹田キャンパス内コンベンションセンターで行われた第35回 プラズマ・核融合学会にて、九州大学大学院工学研究院 渡邉研究室により、当社の車載式水プラズマを研究に用いた「高速度カメラを用いた車載式水プラズマにおけるアーク変動解析」が発表されました。

2019年9月1日~9月5日にかけて韓国・済州島で行われたAEPSE2019 The 12th Asian-European International Conference on Plasma Surface Engineering(第12回アジア-ヨーロッパ表面工学会議)にて、九州大学大学院工学研究院 渡邉研究室により、当社の車載式水プラズマを研究に用いた”Characteristics of Water Plasma Generation Installed on Vehicle System” が発表されました。

学会誌・会報誌掲載

2018年12月10日発刊 応用物理学会の機関誌「応用物理」第87巻 第12号 (2018)にて、九州大学大学院工学研究院 渡邉研究室より当社車載式水プラズマによる廃棄物分解について、「水プラズマの放電特性と廃棄物分解への応用」が研究紹介として掲載されました。

2019年1月30日発刊 一般社団法人 プラズマ・核融合学会の機関誌「プラズマ・核融合学会誌」Vol.95 (2019)にて、『マテリアル工学およびエネルギー・環境工学を進展させる熱プラズマの生成と計測』という小特集を組み、その中の『水プラズマによる廃棄物からの水素製造』というテーマの論文で、九州大学大学院工学研究院 渡邉教授により当社の車載式水プラズマが紹介されました。